示談交渉・裁判外紛争解決機関(ADR)

紛争の解決方法

交通事故における損害賠償請求の方法としては、交渉・ADR、裁判(調停、訴訟)があります。

交通事故の損害賠償請求としての交渉は、被害者の方ご自身で行うまたは弁護士が被害者の方を代理して交渉することが多いと思われます。交渉の場合、当事者間での話し合いなので、柔軟で迅速な解決も可能であるというメリットがあります。

任意保険会社が示談代行サービスを行っている場合もありますので、被害者の方が任意保険会社の交渉担当者と交渉をしなくてはならない場合もあります。
任意保険会社との交渉は、事故様態などによって内部基準があり、それに従って交渉が進みますので、損害賠償金は本来得られるはずの金額よりも低くなることが多くあります。また、任意保険会社の担当者は交渉のプロですので、被害者の方がご自身で交渉するためには、それなりの知識を得ておく必要があります。

当事者同士の示談交渉では話がまとまらなかった場合に、裁判外紛争解決機関(ADR)を利用するという方法もあります。ADRでは、裁判にはしなけれど当事者だけではなく、一定の仲裁者を入れて交渉を進め、紛争を解決します。仲裁者が入るので、客観的な話し合いができ、ADRと協定を結んでいる保険会社等には決定の判断は拘束力があるため、実効性はあります。一方で協定を結んでいない相手方の場合には拘束力もなく、金額的にも訴訟に比べると低くなることが予想されます。

示談交渉をご自身で行うのが困難な場合は、交渉のプロである経験豊富な弁護士に依頼するのも良いでしょう。

示談交渉の開始時期

示談交渉の開始時期は、傷害事故、死亡事故、物損事故など事故の種類や損害の程度によって異なってきます。また、損害賠償請求権の時効も考慮した上で、交渉を開始することが重要となります。

傷害事故の場合

傷害事故の場合、最終的な示談は完治の見込みや後遺症害の有無・程度が分かってから行われるというのが一般的です。なお、その間の治療費や生活費などは暫定的な仮払いの制度を利用するなどします。

死亡事故の場合

死亡事故の場合、葬儀が終わり、1か月または「49日」前後が示談開始時期として多いといえます。事故直後よりも被害者の遺族及び加害者が精神的な落ち着きを取り戻し、冷静に示談内容について交渉を行うことが出来る時期とされています。

消滅時効

交通事故における損害賠償請求権は、事故発生時から3年を経過した時点で消滅します(後遺障害については、症状固定時から3年)ので、注意が必要です。

消滅時効にかかった場合、裁判所においても請求が認められなくなってしまいます。