保険の種類

１　自賠責保険と任意保険

自動車に関する保険には，自動車損害賠償保障法（自賠法）という法律により加入を強制されている「自賠責保険」と，それぞれの損害保険会社が販売し、自由意思で加入する「任意保険」があります。

いずれの保険も、交通事故の適正な解決なためには重要なものであり，以下で分かりやすく解説します。

２　自賠責保険とは

交通事故の被害者は，加害者に対して，交通事故によって被った損害について、賠償金の支払いを請求することができます。

もっとも，交通事故の加害者の属性や、事故態様によっては以下のような問題が生じる場合があります。

＜交通事故損害賠償における大きな問題＞
　　・加害者に賠償金を支払えるだけの資力がない
　　・事故の態様が被害者にも落ち度がある

そこで、法律は交通事故の被害者を保護する目的で，自動車を運転する人に対して，必ず「自賠責保険」に加入することを強制しています。自賠責保険は、交通事故被害者の救済のための最低限の保障となるものです。なお，自賠責保険に加入しないまま自動車を運転すると行政罰と刑事罰の対象になります。

＜自賠責保険の請求方法＞
自賠責保険の請求手続きとしては，加害者が賠償金を被害者に支払った後に請求する「加害者請求」と，被害者が直接保険会社に請求する「被害者請求」があります。

被害者が損害賠償を請求するときは，被害者が加害者の加入している自賠責保険会社に直接被害者請求をし，不足した分を任意保険会社に請求するという方法をとることがあります。

また，加害者の加入している任意保険会社が，被害者に対して，自賠責保険対象分も含めて一括して保険金を被害者に支払い，その後に任意保険会社が加害者に代わって自賠責保険会社に対して自賠責保険対象分を請求するという方法がとられることもあります（「一括対応」）。

この方法には，被害者が自賠責保険会社に直接請求する必要がないため，被害者にとっては手間がかからないという利点があります。他方，任意保険会社が自社の支払いを抑えるため，保障金額を自賠責保険の範囲内に収めようとすることもあり，被害者が十分な保障を受け取れないおそれがあるものといえます。

３　任意保険とは

「自賠責保険」は、上記のように、交通事故の被害者救済のために非常に重要な制度ですが、重大な死傷事故が発生しうる交通事故の場合、それだけでは被害の回復に不十分な事態があります。具体的には、自賠責の範囲外の場合、被害者の損害が自賠責保険の範囲を超える場合，その超えた部分は加害者自身が負担しなければならなくなります。

例えば，被害者の死亡による損害が４０００万円のとき，自賠責保険により３０００万円が支払われたのであれば，残り１０００万円は加害者自身が負担しなければなりません。このような場合に備えて，自動車を運転する人が自賠責保険による不足を補うために自由意思で加入する保険が「任意保険」です。

任意保険は、各損保会社が、特徴のある商品を販売しており、自賠責でまかなえない賠償を補完する役割を果たします。なお、任意保険は、自賠責保険と異なり、強制加入ではないため、自動車の所有者によっては任意保険に加入していないケースもあります。　

４　政府保証事業

ひき逃げ・無保険車との事故

ひき逃げで加害者不明の場合や加害者が自賠責保険に未加入の場合でも，被害者は保障を受けることができます。

このような場合に被害者を救済することを目的として，自賠法に基づく政府保障事業が行われています。日本国内の損害保険会社であれば，被害者からの政府保障事業の請求を受け付けています。

５　任意保険会社など一覧

弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所は，多くの保険会社に対して豊富な示談交渉の実績とノウハウがあります。

なお，こちらに記載していない保険会社であっても，各社に対応しておりますので，ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。