物件損害事故(物損事故)
1 物損事故とは
物件損害事故(物損事故)とは、交通事故のうち、自動車や自転車、その他電柱、塀などに破損が生じた事故のことをいいます。
2 物損事故と保険
物損事故は、人身事故と比べ、加入している保険の有無、内容により、救済の範囲が異なることがあるので注意が必要です。
加害者 | 加害者 |
---|---|
自賠責のみ | 任意保険 |
×支払いの対象外 加害者に対して直接請求の必要あり |
○支払あり ※ただし、一定の制限あり |
3 物損事故の損害賠償の計算方法
物損事故の損害賠償の計算方法としては、以下のものになります。
ケース | 内容 |
---|---|
A 車が全損した場合 | 自動車の修理が技術的に難しい場合(物理的全損)、または修理が可能であるが費用が買い替え費用を超える場合(経済的全損)、全損として事故直前の車の時価が賠償額になります。 買い替えまでの代車料などは請求することが可能です。 |
B 車の修理が可能な場合 | 自動車の修理が可能な場合は、修理代金が損害賠償の対象になります。 |
C 評価損 | 登録年数、車種などの一定の条件を満たす自動車の場合、事故によって、取引の価格が下がったことに対する損害賠償である「評価損」が認められることがあります。 |
※任意保険に加入している場合であっても,物損の場合には,損害賠償額には一定の制限があります。それは,損害賠償額の上限は,原則として,壊れてしまった車の時価額までになる,ということです。
<例>
新車で300万円で買った車に3年乗っていて事故に遭った場合。
→中古車の相場でみると,自分の車はもう5年乗っているので,80万円の価値しかないとします。そうすると,修理に100万円かかるとしても,80万円までしか修理代を払ってもらえないのが原則となります。
4 物損事故の解決のポイント
物損事故の場合、「修理の要否」、「修理にかかる金額」や「評価損の発生、金額」について、争いとなることが少なくありません。
また、物損事故の場合、人身事故と比べ、損害額が小さいこと、自賠責の保障範囲に含まれず、任意保険の保障にも制限があることなどから、その対応においては、費用対効果を意識することが重要になります。
弁護士賠償保険へ加入している場合には、弁護士を用いる場合の費用がカバーされるため、物損事故の場合、必ず弁護士特約の有無を確認しましょう。
5 物損事故の裁判
物損事故は、いわゆる人身事故と比べ、被害が大きくないことが多いことから、それほど裁判になるケースが多くないようです。
もっとも、修理の要否や、評価損 また、保険会社はなかなか認めようとしないことですが、交通事故によって自動車の評価損が発生しますが、この評価損も賠償金額の対象になる場合があります。
もし、賠償金額に含まれていない場合には、保険会社と十分交渉をすることをお勧めしますが、やはり交通事故問題のプロである弁護士でなければ問題解決がスムーズにいかない場合もありますので、ご不明な点があればご相談下さい。
弁護士賠償保険
弁護士賠償保険の利用により、弁護士費用や裁判費用を気にせずに、適正な賠償交渉・裁判手続きを行うことができます。
特に物損事故の場合、弁護士賠償保険に入っているかどうかを確認して頂くことが大切になります。